君の嘘を知らなくて(仮題)
やることがなく、椅子に座って窓の外の景色を眺めていると。
「えっアヤメ!?今日早いね!」
「早起きしたから、来てみたんだ」
「望月くんに会った?」
「うん。挨拶だけだけどね」
他人には秘密にしなくてはいけない、同居生活。
相手はクラスの…いや、学校中の王子様・望月桜太。
挨拶程度は許されたとしても、それ以上はあたしにはまだ無理。
それ以上の会話を出来るほどの地位を、持っていない。
「朝から望月くんに会えるなんて、今日良いことあると良いね!」
「そうだね!」
テンションの高い胡桃に合わせてテンションを高くする。
…あたしは目覚めた瞬間から、あのイケメンフェイスだけどね。
あの起こし方、やめてくれないかなぁ。
「そういえば今日、お昼の前に体育だよ?
何するんだろうね?」
「体育…憂鬱だなぁ」
あたしは溜息をついた。