君の嘘を知らなくて(仮題)
ボールはどこへ飛ぶ?
そして時は過ぎ、憂鬱な体育の時間に。
ジャージ姿の人は、チラチラいる。
あたしもその1人。
今日の体育は苦手なバスケットボール。
1人1個のボールを持ち、シュートの練習だ。
数分したらチーム分けをし、簡単な試合に入るみたいだ。
「……面倒…」
胡桃と一緒にひたすらシュート練習をする。
なかなか入らなくて、ボールは吹っ飛んで行き、その度にいちいち拾いに行く。
「そういえば、ボール気を付けなきゃね」
胡桃の声に辺りを見渡す。
そういえば、多くの子がボールをゴールに弾かれ、誰かにぶつけては謝っていた。
「このボール痛いからねぇ…下手したら怪我する」
「「「きゃああっ!」」」
怪我するよ、と言おうとしたところで、黄色い声に掻き消された。
思わずボールをついていたのを止め、声の方向を見る。