君の嘘を知らなくて(仮題)
あたしが盛大に溜息をついたところで、チャイムが鳴った。
「……それじゃ、俺ひとまず先に教室戻るわ」
「さっさと戻れ馬鹿桜太!」
「はいはーい」
あたしをからかうようにニヤニヤ笑った桜太は、保健室を出て行った。
あたしはぼふんっと音を立てベッドに横たわった。
最低。
最低。
最低なんだから――!
彼女がいるって言うのにあの態度は一体何!?
真幸さん、本当にあれで良いんですか!?
あたしが彼女だったら即別れてるね。
だってあれは一種の浮気でしょ!?
浮気する彼氏なんて許されないんだから!!
心の中で思い切り叫ぶように言いきり、あたしは再び溜息をつく。
そしていつまでもサボるわけにはいかないので、教室を出た。
…そういえばアイツ、頭怪我していたけど平気なのかな。
まぁアイツだから大丈夫でしょ。
根拠のない自信があたしにはあった。
さっ、教室戻ろ。