君の嘘を知らなくて(仮題)
「あっアヤメー!」
「胡桃!」
教室に戻って席に着くと、胡桃がやってきた。
「ねぇ!
望月くん保健室行ったんだけど会った!?」
「会ったけど、あたしすぐに寝ちゃったから」
「そうなの?勿体ないなぁ」
…ごめん胡桃。
望月ファンブック編集長の胡桃には言えないよ。
本当は会っていないって言うつもりだったけど、
保健の先生が来た時あたしは起きていたし話しかけられた。
会っていないと嘘をつき、もし万が一バレてしまったらあたしは嘘つき女だ。
あんなことがあったなんて…胡桃に言えないよ。
胡桃は何度も言うけど望月ファンブックの編集長。
胡桃を敵に回してしまったら、きっと会員の子たちに怒られる。
親友に嘘をつき続けるのは嫌だけど、同居が解消されるまでだ。
「午後の授業も頑張ろう!」
「うん…そうだね!」
…必ず言うから。
待ってて、胡桃。
黙っておくのが、あたしたちのルールだから。