君の嘘を知らなくて(仮題)
あたしは帰りのホームルームを聞かないで、準備をしていた。
しかし担任の連絡に、あたしの手が停まった。
「昨日、生徒会室で保管してある生徒の没収物の中から、ライターが消えていた。
誰か心当たりのある生徒は、速やかに申し出るように」
……ライターが、消えていた?
何だろう。
とんでもなく嫌な予感がする。
桜太を見ると、桜太があたしの方を見て、ニヤリと笑った。
…昨日ファンブックを燃やしたライター。
まさか昨日盗んだわけ!?
「どういうことよアホ桜太!」
『アホとは心外だな。
どうせ保管され続けるんだから、使ってあげた方がライターのためだろ』
帰り道。
胡桃と道が違うため、あたしは1人での下校中、ハインを使って桜太に電話をかけた。
「それ立派な盗みだよ!?」
『心配するな。明日ちゃんと返しておく』
「先生に申し出るの?」
『馬鹿か。
帰りにこっそり返すんだよ』
……何なの!?
優等生なのは本当に表向きなんだね!?