君の嘘を知らなくて(仮題)
『切るぞ』
「最低!最悪!馬鹿!アホ!!」
『…俺を馬鹿にするとは良い度胸しているじゃねぇか…。
帰ったら待ってろ。
たっぷり可愛がってやる』
もうどうにでもなれ!
あたしはブチンッと通話を切った。
ユキくんの所行ったんだよねぇ。
あたしも行きたかったなぁ。
「にゃあ」
「そうそうそんな鳴き声していて…って、はあ!?」
あたしは住宅地の真ん中で叫んだ。
目の前には、ユキくんがちょこんとお座りしていた。
キミは犬ですかと突っ込みたいのを我慢し、しゃがみ込んだ。
「ユキくんだよね?」
「にゃっ」
「どうしてここにいるの?桜太は?」
「にゃっ」
「…猫に聞いても無駄か」
猫に話しかけてちょっと変な人になっちゃうよ。