君の嘘を知らなくて(仮題)
俺は次第に真幸と話すようになっていた。
俺のことが好きらしい女子も、相手が真幸だとわかった時から話しかけなくなって。
俺への想いはその程度だったのかと知ったのと同時に、真幸は良い女除けになってくれた。
『好きなんだけど』
珍しく顔を真っ赤にして告白された時、迷うことなくオッケーした。
それからは彼氏彼女の関係を保っていた。
真幸との日々は順調だった。
喧嘩もなく、ゆっくりと過ぎて行く日々。
このまま死ぬまで、この関係を俺は望んでいた。
『ねぇ。
わたしのこと好き?』
『は?
好きに決まってんだろ』
『じゃあ何でこの間、誕生日プレゼント買ってきてくれなかったの?』
『……欲しいのか?』
『欲しいに決まってるでしょ?
わたしは彼女、なんだから』
『んじゃ、次の俺の誕生日に買って来いよ。
そうしたら買ってやるから』
『本当?約束ね』
『約束だ』
その約束は、果たされることがなく終わった。