君の嘘を知らなくて(仮題)









そして、歯車が狂い始めたのは、高校2年生のクラス替えの日。

名簿を見た俺は、書かれていた名前に驚いた。




<河西 彩愛>




河西、彩愛。

俺や真幸、幸恵さんのことを知る人物。

一気に要注意人物へ成り上がった。





俺のファンブックの編集長だと言う胡桃さんと仲良くしている、河西彩愛。

成績は悪く、スポーツも出来ず、正義感が強い人見知り。

俺と正反対のアイツに、俺は興味を持った。





『……もちもち?』




突然河西彩愛の家に同居すると兄貴に言われた時は驚いた。

真幸とデートだと言って断った、初めて兄貴の奥さんが家に来る日。

まさか…河西彩愛の姉と結婚していたとは。



俺と真幸の関係を知らない素振りをする河西彩愛。

注意深く観察している時言われた、もちもち。





『望月桜太?
じゃあ、もちもちだね!』





かつて真幸につけられた、変なあだ名。

言われるだけで、何だか心地よくなってしまった。




俺は次第に、河西彩愛と真幸を重ねて見るようになった。







< 163 / 248 >

この作品をシェア

pagetop