君の嘘を知らなくて(仮題)







だけど俺が真幸を愛していたのは事実で。

だから俺はおじさんの“言いなり”になった。

例えそれが、嘘でも。

いけないことでも。

クレープを食べている時に“河西彩愛”が言っていた、馬鹿なことでも。





全ては俺が

白井真幸を好きでいたから。






『…好きなんでしょ、彼女のこと』



あぁ好きだ。



『真幸さんが最初に、桜太以外の男に手出しするようになったの?』



あの時は否定したけど、そうだ。




『桜太、真幸さんが他の男とキスするようになって、ショック受けたんでしょ』



見てしまった時は、その場から逃げ出したよ。




『だから自分も、そうするようになったの?』




アヤメが真幸に似ていたから。

“そう”したのは、アヤメだからだ。




『桜太は真幸さんのこと、好きだよね。
雑貨屋さんで、真幸さんへのネックレス、買っていたもんね』




机の中に仕舞われている、あげる奴がいねぇプレゼント。

その前も買っていたプレゼントは全て、奥深くに仕舞われている。




『1度、真幸さんと話し合ってみなよ。
桜太となら、きっとわかり合えると思うから』




……そうだったら、良いのにな。







会えたら、良いのにな。








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