君の嘘を知らなくて(仮題)
「胡桃……?」
「どうしたのアヤメ、こんな時間に」
あたしと家が逆方向の胡桃が微笑む。
「お…えっと……」
桜太を探していて。
そう言いそうになり留まる。
望月くんを探している、って言う?
「あのねっ……」
胡桃、怒るかな。
興味ないって言っていたけど。
ファンブックの編集長だから、少しは怒る?
「……望月くん、探しているの?」
「えっ?」
にっこり、胡桃が笑いながら言う。
何を言っているか、信じられなかった。
「……何で、知ってるの?」