君の嘘を知らなくて(仮題)
「にゃっ!」
前は疲れていた階段を上っていると、
軽い足取りでユキくんが下りてきた。
「ユキくんっ!」
「にゃーっ!」
ユキくんはあたしが追いつくと、再び上っていく。
軽やかな足取りが羨ましい。
あたしは息切れ寸前で階段を上った。
「桜太っ!」
「……アヤメ」
夕焼け公園の一角にあるベンチ。
そこに寝転がっていた人物に向かって叫んだ。
彼はゆっくり上体を起こした。
「何の用?」
「探したよ!
どうして電源切っているの!?」
「は?」
ポケットからスマホを取り出した桜太は
目を丸くした。