君の嘘を知らなくて(仮題)
「……すまん。
電池切れだったわ」
「は!?」
電池切れ…だとぉ!?
あたしはその場にへたり込んだ。
「アヤメ?
どうした?具合悪いか?」
ベンチから離れ、座りこんだあたしの近くに同じようしゃがみ込む桜太。
あたしはぎゅっと桜太の手を握った。
「さがっ…したっ……」
「……アヤメ」
「電池切れなんて、しないでよっ…馬鹿ぁ!」
あたしの涙腺が、そこで崩壊した。
ぽたぽたと両目から涙がこぼれ落ちた。
「……どうした?何かあったか?」
保健室で無理矢理キスとかしてきたくせに。
こんな時だけ優しいんだから。