君の嘘を知らなくて(仮題)
ひとりぼっち 胡桃side
プツリ、と通話が終わる。
私はスマホをテーブルの上に置いた。
冷蔵庫へ向かい、冷凍室にいれているレンジにいれたら食べられるチャーハンを温める。
やけにしょっぱいチャーハンとお茶を飲み、部屋へ行ってベッドに寝転がった。
「……ふふふっ」
今更気が付いたの?
ずっと、高校入ってから私は気がついていたというのに?
今更だなんて…遅すぎるわ。
「ふふっ…アハハッ」
面白くなるかしら?
きっと望月桜太は気がついている。
私が一体誰なのか。
どうして今更なの?
今の今まで気が付かなかったの?
私はずっと気がついていたのに?
何で向こうは私に気が付かないの?
ずっと、ずっとよ。
人は誰しも私に気が付かないわ。
お父さんもお母さんも、アイツも。
誰もかれも、私に気が付かない。