君の嘘を知らなくて(仮題)
むくり、と起き上がり、お風呂場へ向かう。
簡単に洗い流して出て、パジャマ代わりのTシャツを着て歯磨きをしベッドに寝転がる。
誰もいない、私だけが生きている家。
お父さんがいるけど、きっと今日も帰ってこない。
私のせいで結婚出来ない相手と、一緒に相手の家に泊まるんだわ。
「……どうしようかなぁ」
本当の復讐相手は、もういない。
だから相手を変える。
どんな形であれ復讐相手を殺した、あの人に。
「どんな方法だったら、哀しむかなァ?」
今まで私が感じてきた気持ち、味わってもらいたいからなぁ。
どうすれば良いのかなぁ?
「また使おうかなぁ?河西彩愛の名前」
高校ではふたつの出会いがあった。
復讐相手の恋人と、あの人と出会った。
「……あのふたりの関係がわからないと、駄目だよねぇ?」
ふう、と溜息をつくと、何だか眠くなって来た。
私はゆっくり、瞼を閉じた。