君の嘘を知らなくて(仮題)
布団も掛けずに眠っていると。
ガチャガチャと鍵を開ける音で目が覚めた。
私はゆっくりベッドから立ち上がり、扉を開けた。
「お帰りなさい、お父さん」
出来るだけ自然に微笑む。
…女の所に泊まったわけじゃないんだ?
「…まだ起きていたのか」
溜息交じりにお父さんが言う。
「早く寝なさい」
お父さんは水を飲むと自室へと消えた。
私は扉が閉まるのを聞き、扉を閉めた。
…もし、アイツなら。
もう少し何か言われていたのかな?
ごめんね、私で。
倉田胡桃でごめんね。
アンタの大事な娘じゃなくて、ごめんなさい。