君の嘘を知らなくて(仮題)
「はぐらかさないでよ」
アヤメがムスッとする。
…怒った?
「……教えてあげるよ。
アヤメ、あんた小学生の頃、覚えてる?」
……答えは、知っている。
「……小学生の頃?」
キョトンと首を傾げるアヤメ。
そうだよね?
覚えて、いないよね?
「私たちが出会ったのは、小学生の頃。
当時私の名字は、違ったけどね」
「……覚えて、ない」
「そうだろうね。
だってアヤメ、ちょっとした記憶喪失だもん」
「……」
信じられない、と顔に書いてあるように見える。