君の嘘を知らなくて(仮題)
「話変わるけど」
「何です?」
「私の目的、望月くんはわかってる?」
「……ええ」
「言ってみて?」
「……復讐、ですよね?」
倉田胡桃は肯定も否定もせず、ただニコニコ笑っていた。
「まぁ元々の復讐相手は…白井真幸ですよね?
しかし真幸が死んだから、相手は僕へ変化したんですよね?」
「知ってたんだ、私が白井真幸に復讐したいって思ってたの」
「気が付いたのはつい最近です。
あなたの名字が倉田だと知ったのと、おじさんの現在について知った時です」
俺は一旦区切り、顔を上げた。
「胡桃さん。
だけど僕はわかりません。
復讐して何があるんですか。
復讐してからの、あなたの目的は何ですか」
「何だろうねぇ……」
「会いに行きたいのなら、行けば良いでしょう。
幸恵さんが入院している病院ぐらい教えますよ。
いや…幸恵さん、じゃありませんね。
あなたの、お母さんが入院している病院ですよ」
倉田。
それは、真幸のおじさんの名字。
倉田胡桃は、
真幸の双子の妹だ。