君の嘘を知らなくて(仮題)
「桜太~!
ユキく~ん!
早くどいてよ~!!」
「黙ってろ」
「にゃっ」
あたしは腕立て伏せをするような体制から、起き上がった。
「へぇ。
さすがにどいてどいて喚くだけじゃなくなったな」
「進歩してますからっ!」
「自分で言っちゃう?それ」
ククッと笑う桜太。
変わらないその姿に、あたしも笑みがこぼれた。
「今から帰りか?」
「そうだよ」
「んじゃ、帰るか」
「うんっ」
あたしは桜太の隣に並び、一緒にお姉ちゃんと風太さんが待つ家へ帰った。