君の嘘を知らなくて(仮題)








イケメンで、文武両道な、彼女がいる誰にでも優しい紳士。

それが望月桜太。



監視を続けるうち、お母さんの元に行き、あのクレープ屋で見かけた時同様

真幸が生きている演技をしていることを知った。

きっとそれを頼んだのは、お父さんだとは流れでわかった。



精神を病んだお母さんが頼むわけない。

だからと言って望月桜太がやると言い出すとは思えない。

残るのは、お父さんだ。




他の女と再婚しない理由は、私がいるからだと思っていたけど。

それって本当に、私がいるから?

本当は離婚した今も、お父さんはお母さんを好きなんじゃないの?

だからこうしてお見舞いに来たり、望月桜太に演技をするよう求めたんじゃないの?






「お父さん」




エレベーター待ちをしている時、私は聞いてみた。





「お母さんのこと、まだ好きなの?」




お父さんは驚いた顔で私を見た。

久しぶりにマジマジと顔を見る。




「好きだから、望月桜太に真幸が生きている振りをしてほしいって頼んだの?」





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