君の嘘を知らなくて(仮題)
私と真幸は双子の姉妹で、同じ日に産まれた。
初めての子どもで一気にふたりも子どもが出来、両親は喜んだという。
違いが出てきたのは、私たちが物心つく時期。
両親は私たちが、顔を含む外見だけではなく内面も違うと知った。
私は覚えていないが、物事を器用にこなせる性格だったらしい。
一方の真幸は、私のように器用ではないものの、努力すれば出来るようになる性格だった。
しかし努力することが結構好きな私に比べ、真幸は努力が嫌いで。
努力をする前に、他のことに気を取られ集中出来なかった。
自然と両親…というか大人は、出来ない子どもにどうしても目がいってしまう。
必然的に放っておいても努力をする私は後回しにされ、真幸を気にする結果になってしまった。
ここで両親が真幸を気に掛けるも、私も同じぐらい気に掛ければ、私が真幸に黒い感情を抱くこともなかった。
しかし初めての子どもで、両親は大いに戸惑い。
真幸を気にし過ぎるあまり、私は後回しにされ続けた結果、私の知る倉田家が生まれたのだった。
両親の戸惑いも、大人の事情も知らない幼い私たちは。
真幸は妹の私より優位に立っているという気持ちに陥り、優越感に浸った。
一方の私は、両親に愛され、コミュニケーション能力の高い真幸に劣等感を抱き続けた。
しかし、どこかで真幸は“私の姉”だった。
お父さんは自室から、使い古されたノートを取ってきて渡してくれた。