君の嘘を知らなくて(仮題)
「これは……?」
「真幸の日記だ」
日記?
真幸は日記なんてつけていたの?
私は唾を飲み、ページをゆっくり捲った。
書かれていたのは、日々のこと。
他愛もないことだった。
ちょっとした出来事から、友達についてなど、内容は統一性がない。
私は真幸を避けていた部分があったから、初めて知ることの方が多かった。
<1月21日 晴れ
今日はわたしと胡桃の誕生日。
お父さんとお母さんがプレゼントをくれた。
お父さんからは
図書カードを貰った。
いっぱい欲しい漫画が買えるな!
お母さんからは
可愛いネックレス。
今度トモコと出掛ける時につけて行こう!
嬉しかった。
だけど素直に喜べなかったのは
胡桃がいるから。
胡桃はお父さんからは電子辞書
お母さんからは最新型のシャーペン。
それでも良いんだろうけど…。
何だかわたしとの間に差があるようにしか思えない。
現に胡桃はあんまり嬉しそうにしていなかった。
誕生日ケーキだってそう。
プレートに書かれているのは、
真幸とクルミ。
どうしてわたしは漢字だったのに
胡桃はカタカナだったんだろう?
単なる店員さんが胡桃って字を書けなかっただけ?
それともお父さんとお母さんがそう指示した?
本当にわたしたち、双子なのかな…?>