君の嘘を知らなくて(仮題)
「未来の弟に、お義姉さんかぁ。
家族が賑やかになるのは良いものだね」
「でしょ?
もっともっと、子孫を増やしましょう?
我が国の未来のために!」
「ははっ。
椿さん、夢が大きいことはとても良いことだよ」
朝からテンションMAXな椿さんと、スローペースな兄貴の会話は、聞いていてとても楽しい。
クスクス笑いながら、俺はパンにジャムを塗った。
「おはよう~お姉ちゃん、風太さん」
「おはようアヤメちゃん」
「おはよアヤメ!
さっさと朝ご飯食べて、未来の旦那様と一緒にラブラブ登校しなさい!」
「お姉ちゃん、余計なのが多すぎる……」
苦笑交じりにアヤメは俺の隣に座る。
俺はパンを咀嚼しながら聞いてみる。
「嬉しくねぇの?ラブラブ登校出来て」
「だって教室入ったら、ただのクラスメイトだもん」
「クラスメイトに言うなって言ったのお前だろ……」
俺は言っても構わねぇんだけど。
アヤメが言うのを許してくれない。
理由を聞いたところ、
『普通の生活にサヨナラグッバイなんて別れを告げられない』とか、
変な回答が返ってきて。
カレカノの関係になったものの、
教室の中ではクラスメイトの関係のままだった。