君の嘘を知らなくて(仮題)
どちら様…ですか?
飴玉を口の中で転がしながら、ルンルン気分で家に帰る。
そういえば今日から同い年の男子と同居かぁ。
実感湧かない。
どこの少女漫画だよ。
…まぁ事情が事情だからしょうがないんだけど…。
「ただいまー」
扉を開けて靴を脱ぐ。
お姉ちゃんの靴と、朝見た風太さんの靴が並べられていた。
弟くんは帰って来てないんだなぁ…。
リビングに続く扉を開けると。
台所で仲良く立ってご飯を作っている、お姉ちゃんと風太さんがいた。
いつまでも、あんな新婚夫婦でいられると良いなぁと密かに願う。
「ただいまっ」
雰囲気を壊したくはなかったけど、帰ったら挨拶するのは河西家の決まり。
「お帰りなさいアヤメ」
「お帰りアヤメちゃん」
「うわぁ…。
何だかお兄ちゃんが出来たみたいっ!」