君の嘘を知らなくて(仮題)
ずっとお姉ちゃんだけだったから。
お父さんより年下の男性に「お帰り」と迎えられるのは、とても貴重な気がする。
「僕も、妹が出来たみたいで嬉しいよ」
風太さんの眼鏡の奥の可愛らしい瞳が細められる。
見た目は地味だけど、優しそうな良いお兄ちゃんかもっ!
「ちょっとアヤメに風太さん。
ふたりは義理だけど兄妹でしょ?」
「あっそうか!」
「確かにそうだったね…。
アヤメちゃんみたいな可愛い妹が出来て、僕は嬉しいよ。
これで良いんだね?」
「そうっ!」
出来た“みたい”ではなく、出来たのだ。
もうお姉ちゃんと風太さんは結婚しているんだから。
「風太さんの弟さんって、どんな人なんですか?」
「ん?
僕よりしっかりしているよ」
苦笑しながら教えてくれる風太さん。
「というかアヤメちゃん、敬語はいらないよ」
「あっそうですか?…あ」
「あはは。
ゆっくり慣れて行けば良いよ」
「はーい!」
「弟と、仲良くしてあげてね」
「うんっ!」
弟くんとも、仲良くなれると良いなっ!