君の嘘を知らなくて(仮題)
「アヤメ。
そろそろ着替えてきなさい」
「はーい!」
部屋に戻って軽く私服に着替え、下に向かう。
そして手洗いうがいをし忘れたことを思い出し、洗面所に向かう。
望月、かぁ。
望月くんみたいな人が良いな!
でも彼女さんいるからなぁ。
しかも別に、憧れてはいるし気になるけど、好きじゃないし。
でも、風太さんの弟だもん。
きっと望月くんみたいな素敵な弟さんなんだろうなぁ。
「よしっ!」
顔も洗って、パンッと頬っぺたを叩いて気合いをいれる。
そしてリビングに向かった。
テーブルの上にはいつの間にか、美味しそうなご飯が並べられていた。
大きなお皿に乗せられたご飯たちを、自分たちの小さな小皿で取ってそれぞれ食べるシステムらしい。
あたしはつまみ食いしたいのを我慢し、リビングに置いて行った雑貨屋さんの袋を開けた。
「アヤメ、それ買って来たの?」
「そうだよ。
可愛いでしょー?ペアマグ」
「へぇ、クローバーの形になるのね。
クローバーは幸せを呼ぶから、楽しい生活が送れると良いわね」
「お姉ちゃん上手いっ!
あたしそこまで、考えていなかったよ」
あたしはテーブルの上に4つのマグカップを置いた。