君の嘘を知らなくて(仮題)
そして同じく買って来たカラフルな紙の飾りを、壁にテープで貼りつけていると。
ガチャッ
玄関の扉が開く音がした。
あたしはバッと閉まっている扉を見つめた。
…弟くん、帰ってきたんだ。
「おっ、帰って来たか?」
エプロン姿が妙に似合う風太さんがやってくる。
お姉ちゃんも初対面らしく、3人で扉を見た。
ガチャ……
入ってきた制服姿の男子に、あたしは心臓が飛び出るかと思ったぐらい、驚いた。
そして掠れた声で、知っているその人の名前を呼んだ。
「望月くんっ……!」
「……河西さん」
ドアノブに手を置いたままこっちを怪訝そうに見つめるのは、
クラスメイトで紳士な、望月桜太くんだった。