君の嘘を知らなくて(仮題)
驚いた顔をしていた望月くんだけど、すぐにパッと笑顔に切り替わった。
スピード早っ。
「どうして河西さんがここに?」
「どうしてって……」
「桜太」
風太さんが名前を呼ぶ。
やっぱり弟くんなんだ…!
「兄貴……?」
「アヤメちゃんとは知り合い?」
「知り合いというか…クラスメイト。
それ以上でもそれ以下でもないよ」
「そうなんだ。
アヤメちゃんは、椿さんの妹だよ」
「……椿さん?」
「そっか。
ふたりは初対面だね。
僕のお嫁さん、椿さんだよ」
「初めまして!
望月…旧姓、河西椿です。
妹がいつもお世話になってます!」
「……望月桜太です。
兄貴をよろしくお願いします」
お姉ちゃんと望月くんが頭を下げる。