君の嘘を知らなくて(仮題)
「教えたって無駄だと思うよ」
「どうして」
「じゃあ問題です。
俺とお前が嘘をつきました。
しかし俺とお前は“自分は嘘をついていない”と言います。
信じてくれる人が多いのは俺とお前、どちらでしょう?」
「胡桃が信じてくれるもんっ!」
「ばーか」
「誰が馬鹿じゃいっ!」
確かに成績悪いけど。
「俺の話聞いてないねー。
眼科・耳鼻科・整形外科、いっぱい病院行く所あるねー」
「どこも行きませんっ!
悪くないですからっ」
「俺が言ったのは、信じてくれる人が多いの。
さ、どっちが多いと思う?」
「……望月」
望月くんは常に人に囲まれている。
あたしは胡桃ぐらいしか仲が良い子がいない。
「そう。
ほぼぼっちに近いお前と俺じゃ、人望ってモンが違う」
…認めたくねぇー。