君の嘘を知らなくて(仮題)
「そんなお前が、俺の本性を誰かに教えたって意味ないの。
だってそこで俺がお前の言っていることは嘘ですって言えば良いんだから。
そうしたら皆簡単にお前は嘘つきだって言われるよ」
「本当のことなのに……」
「それが人間ってモンなの。
人望とかで簡単に動いちゃうの。
あと人って常々思うけど馬鹿だから。
簡単にうわべで仲良くしちゃう。
女子が本当良い例。
少し良い顔して紳士っぽいことすれば、簡単にキャアキャアうるさく黄色い声挙げてはしゃいじゃうの。
…お前だって今日、俺に少し惚れただろ?」
突然声を低くして呟く望月くん。
……確かにかっこいいと思った。
凄いって思って憧れた。
「こんな人だと思わなかった」
「それ素直に受け止めると俺って悪者だよね?
ねぇ、何が悪い?
裏を作って何が悪い?
聞くけど、今の俺で明日から接したら、どんな反応すると思う?」
…望月くんの教室での顔が嘘だとわかったら。
「…皆、驚くと思う。
それできっとあたしみたいに、こんな人だと思わなかったって言うと思う」
「そうなると俺も思うよ。
お前は勘違いしているけど、俺は皆のために良い顔してんの。
だって喜ぶんだから。
…黙っていれば良いんだよ、アホ」
ピンッとデコピンする望月くん。
…地味に痛い。