君の嘘を知らなくて(仮題)
お嫁に行けない…
「……ろ」
どこからか声が聞こえる。
「……きろ」
……誰の声?
「起きろって言ってんだろこの馬鹿女っ!」
「……ふぇ?」
瞼を開けると視界いっぱいに入ってくる、イケメンフェイス。
「~~~!?」
あたしは声にならない悲鳴を上げた。
「早く起きろ。
寝起きが悪いなんて、最悪だな。
さっさと準備して下に下りて来い。
それとも何だ。
王子様のキスがないと起きられないのか?」
「起きれますっ!」
「じゃあさっさと起きろ。ノロマ」
チッと舌打ちをオマケにし、
同じ部屋の同居人――望月桜太は部屋を出て行った。