君の嘘を知らなくて(仮題)








へぇ…望月くんパンなんだ。

そう思いながらあたしもパンに手を伸ばす。




何もつけないでぱくりと食べながら横を見る。

ジャムが少量乗った、食パン。

へぇ…ジャムつけるんだ。





「…どうしました?河西さん」



あたしの視線に気が付いたのか、にっこり微笑む望月くん。

笑っているんだけど…何だろう。

目の奥は笑ってないよね?

“こっち見るな”…そう言っているように見えてしまう。




「何でもない」


「そうですか」




あたしたちは無言でパンを食べた。

するとその様子を見ていたお姉ちゃんが、爆弾を落とす。




「アヤメも桜太くんも、お互い下の名前で呼べば良いじゃない」


「はっ!?」




あたしも望月くんも手を止めてお互いを見る。

桜太くん?





どこの少女漫画よ、あり得ない。






< 57 / 248 >

この作品をシェア

pagetop