君の嘘を知らなくて(仮題)
「お前はどうしてそう無防備なわけ?
男に裸見られて気にしないで?
女子力本当皆無だな。
もう少しぐらい磨けば?
腐ってもお前は女子だろ?
もっと女子らしくしろよ。
ユキに会えたぐらいで、朝のこと許すなんてどれだけ単純?
そのすっからかんの脳みそじゃそこまで考えられない?
馬鹿だから、アホだからしょうがないで済ませる?
頭悪いんですーテヘペロ気にしないでって済ませる?」
出たーっ!
「頭悪いんですーテヘペロ気にしないで、なんて言わないよ!」
「にゃっ」
「ほらユキもお前は馬鹿だって言ってる」
「にゃっ」
「もちもちは猫語がわかるの!?」
「お前と違って俺は頭良いから」
「すごーいっ!
どうやったらわかるの?教えて」
「教えるわけないだろアホ。
お前に教えたって一生わからねぇよ」
「にゃっ」
「ユキくん教えてよーっ!」
頭を撫でようと手を伸ばすと、ユキくんはもちもちの膝から下りて、どこかへ行ってしまった。
「あー残念!」
「ユキは人見知りだからな。誰かさんと違って」
「誰かさんってあたし!?」
「さあな。
んじゃ帰るか、夕飯もあるし」
「あっお餅食べるの忘れてた!
もちもち急いで帰ってお餅食べよう!?」
「お餅?
そんな季節外れなモン、あるわけないだろ」
「そんなことないよ!行こう!」
「ちょっ、おい待てよ!」
急いでもちもちの手を引っ張って走ったけど。
「お餅?
そんな季節はずれなのないわよ」
「うああん!そんなああ!!」
「……馬鹿な奴」
お姉ちゃんに言われ、あたしはガックリとうなだれたのだった。