君の嘘を知らなくて（仮題）

「ユキは、あのままで良いよ」


「……そう？」


「あぁ。
餌はいつも通り、“俺たち”でやっておくから。

お前は何もしなくて良いよ」


「……わかった」





そうだよ、ね。

恋人の間に入っちゃ駄目だよね。

彼女さん、ヤキモチ妬いちゃうかもしれないよね。





「放課後、もちもちはまたユキくんの所行くの？」


「ああ、行くけど？」


「……行ってらっしゃい」


「……ああ」




彼女――真幸さんのことを話しているもちもちは、楽しそうで、幸せそうで。

あたしが入る隙などないように思えた。




「……そろそろ、お前の友達来るよ」


「うん、そうだね」


「じゃ」




もちもちは教室を出て行った。