調理部なんてどうでしょう?
放課後。
私は落ち着けずにあれから教室に戻ってからも何かと宮島君をちらちらと見てしまっていたけど、ようやく今日の学校も終わり。



一緒に部活へ行っていいだろうか。声をかけたほうがいいだろうか。
宮島君は今、少し離れた席で他の男子と楽しそうに喋っている。


よし、少し待っていよう。
ものすごくそわそわする。変に思われないように、教室のあっちこっちに目をやったり、俯いてじっとしていたりするうちに、誰かに声をかけられた。


「九重、帰らねぇの?」

「え!?」

顔を上げると朝茄君がこちらを見ている。


「えっと・・・うん、い、今から部活に行こうかな・・・と・・・。」

「あれ、九重って部活入ってたっけ?」

「うん、実は調度、今日から入部することになってて・・・。」


ああああ、やばい、視線が泳いでしまう。


「あっ、九重さん!」


そこへ宮島君が声をかけてきた。

「ごめんっ、じゃぁ行こうぜ!」

「は?お前どこ連れていくんだよ。」

「だから、俺の入った調理部、九重さんも入ってくれたんだよ。」

「おぉ、マジか。」


朝茄君がこちらをまじまじと見てくる。

「あ、えっと・・・じゃぁまた明日。」

私はごまかすように無理やり微笑んで、朝茄君にぺこっと頭を下げた。
宮島君も、「それじゃぁなっ。」と朝茄君に手を振って教室の外へ向かった。



朝茄君と宮島君。
どちらも一緒にいると、そわそわしてしまうけれど、今はこの気持ちを封印しておこう。そうしないと、私がもちそうにないから。


今は、これから向かう調理部の活動のことを考えよう。



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