調理部なんてどうでしょう?
「早くやってちょうだいな!」


「あの・・・華嬢部長。」

私は調理室全体を見渡した。コンロつきの机が均一的に並んでいる以外は、調理用の道具も、もちろん材料もない。


「調理って言っても、計画を立ててから材料を買ったり、道具を集めたりしなくちゃいけないと思うので・・・今すぐは難しいと思います・・・。」

私の言葉に宮島君もうんうんと頷く。
しかし、華嬢部長は変わらず、高らかな声で説明しだした。

「大丈夫、材料ならうちでたくさん買っておいてあるわ。そこの冷蔵庫の中よ。」

華嬢先輩はさっきから気になっていた教室の後ろの大きな冷蔵庫2つを指差した。

「それから、ここは調理室ということをお忘れかしら?道具ならたくさんここになおしてあるわ。」

華嬢先輩はふふんとと胸を張った。

「計画なんて、レシピがあれば充分でしょうし。それくらいは自分で探せるでしょう?」


いかにも、調理の準備はすべて私がしてあげているからさっさとあなた達は調理をしなさいと言いたげだ。


・・・とりあえず、冷蔵庫の中を見て今からでもできるものを考えよう。この人には何を言っても無駄だということを忘れちゃいけないな。


私が冷蔵庫に向かうと、宮島君もおたおたしながらついて来る。
がちゃっと冷蔵庫を開けて私は驚いて思わず固まってしまった。数々の高級そうな食料がずらりと冷蔵庫にしきつめられている。肉、魚、野菜、果物。何でも揃っているようだ。



「さすがご令嬢。」

宮島君がぼそりと呟いた。
食料調達だけは、華嬢部長がたっぷりしてくれそうだ。


「どうしようかな・・・。」


私は冷蔵庫の中のものを覗き込みながら首をひねった。
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