調理部なんてどうでしょう?
「あざす!」

そう言って朝茄君は私にノートを返してくれた。一気に全身に張り詰めていた緊張が解ける。


ふぅ・・・今日の山は越えたな。これでまた静かな私の日常が戻ってくる。







それからは授業を受けて、あっという間にお昼になった。

さてと、今日もあそこで食べようかな。
あそこというのは、校庭の隅の方にあるベンチがいくつかある場所のことだ。大半の生徒は、食堂か教室で食べるから、このベンチがある場所は割とすいていることが多い。まぁ、最近は温かくなってきたし、ベンチの辺りも混雑しているのだが。


お弁当を持って私が席から立ち上がりかけた時、誰かから声をかけられた。

「九重さんっ。」

「はい?」

声のした方を見ると、クラスメートの男子がこちらに向かって近づいてきていた。確か、朝茄君と同じサッカー部の宮島 康太郎君だ。

「九重さんって部活とか入ってたっけ?」

「あ、いや、入ってないけど・・・?」

「おお!良かった!九重さん、料理とか興味ある?」

「え?ごめん、そこまでないな・・・。」

「いやいや!謝らなくていいからっ。でも、もし良かったら調理部入ってくれない?」

笑いながら宮島君はごく自然にどうやら部活の勧誘を私にしているようだ。

「調理部?」

聞いたことのない部活名だ。うちの学校には確かにあらゆる部活が存在しいるが、それでも聞き覚えがない。

「ちょっと時期は微妙だけど新しく作ったんだ!もちろん他の部活と掛け持ちOK!週2で活動する予定だから、良かったら入部してください!」

ペコリと頭を下げる宮島君。
私はというと急な話におたおたしてしまう。

「えっと、・・・じゃぁ考えておく。」

無難な返事を出したつもりだったんだけど、宮島君は私の返事を聞いて顔をしかめ、へたしたら泣きそうな表情を浮かべた。

「それは無理!」

「え!?」
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