調理部なんてどうでしょう?
「どうすか!俺だってやればできますよ!」

「ふーん。」

宮島君は胸を張って誇らしげだけど、猫塚先輩は完全にスルーして私をじっと見てきた。

「まさに家庭的女子じゃないすか?いかにも料理とかしてそうな!!」

宮島君、あんまり私を先輩の前で持ち上げないでくれるかな。期待された分、後で失望されるのは嫌だからね。
猫塚先輩にじっと見られて緊張しながらも、頭の片隅では宮島君の言葉にあせっている私をしばらく見てから、猫塚先輩は口を開いた。

「料理の経験は?」

「えっと、あんまりないです。」

私は素直に、そして遠まわしに、宮島君の言葉を全否定した。

「え?!それ正直に言っちゃう!?ちょっとおいおい!!」

「だって、料理なんて正直普段あんまりしてないし。」

「そんな!せめてもうちょっと前向きな発言してくれよ!」

「まぁ、正直なのは良い。問題は体系だな。」

「へ?」

「え?」

いきなり話の流れと違う発言をした猫塚先輩を見て、私と宮島君は同時に変な声をあげた。

「もうちょっと華嬢みたいに胸にボリュームがあった方が俺の好みだったな。」

「「・・・・・。」」

ちょっと待って猫塚先輩。それってセクハラ発言ですよね・・・?その美しい容姿の中身はただの変態だったんですか?


そぉっと宮島君が私の方を、しかも私の視線より下を見てきたので、私はさっと胸を手で覆った。その瞬間に宮島君はばつの悪そうな顔をして困った笑いを浮かべた。

いや、笑わないでよ宮島君。

「・・・やっぱり入部しなくていい?宮島君。」

私は内心恥ずかしいのと、「胸の大きさで女選んでんじゃないわよ!」と怒って叫びたいのを堪えて、宮島君を睨みがちに見た。


「ご、ごめん・・・あの・・・別に俺は小さいのとか気にしてないし・・・。」

宮島君は頭をかいて顔をそらしながらぼそぼそと言うけど、いやそれももうセクハラ発言でしかないからね。

「すいません、私教室に戻らせていただきます。」

私はペコリと頭を下げてそのまま回れ右をした。

「ごめっ、ちょっと待って!九重さん!ごめん!それだけは勘弁して!!」

宮島君はあせった様子で私の隣に来て手を合わせるけど、もう駄目だね宮島君。声をかけてくれたのは嬉しかったけど、所詮男子の頭の中はそういうことでいっぱいだということを私に認識させただけだったよ。
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