調理部なんてどうでしょう?
「部長の華嬢先輩って、どっかの財閥か何かのお嬢様なんだって。だから普段からあんな感じ。それに、副部長の猫塚先輩も、すげぇイケメンだけどあの通りなんにでも無関心で無口。それからお前は、まぁある意味変わってるかな。」

道理で華嬢先輩はあんなに高飛車なわけだ。
それに、メンバーが4人で華嬢先輩が部長なら当然猫塚先輩が副部長なのか。言われて初めて気づいた。
でも、最後の言葉にはつっかかるものがあった。

「私も変わってる?」

「うん、別に悪気があって言ってるわけじゃないけど、お前っていっつも一人じゃん?」

確かにそうだけど・・・それのどこが変わってるっていうんだろう。

「誰とも喋らねぇし、常に孤立してるっていうか・・・いわゆる不思議ちゃんみたいな。」

「え!?私ってそんな風に見られてたの?」

「いや、俺がそう思うだけで、他の奴らはどうかわんねぇけど。」

そんな、私が不思議ちゃんだなんて。他の人がどうにしろ、少なくとも誰か一人にはそう思われてたなんてショックだ。私はずっとクラスの皆にとって空気のような存在だと思っていたから、まさか誰かが私の事をそう思っているなんて考えもしなかった。

「ご、ごめんっ別に悪いってわけじゃないんだけど・・・っ。」

「い、いや、いいよ。そうか、私って不思議ちゃんに見られてたのか・・・。」

私がそう呟くと、宮島君は余計あせってしったようだ。

「お、俺、もう九重さんのこと不思議ちゃんって思ってないから!実際に話してみると別に普通だし、変わってるところとかそんななかったし!」

「う、うん、ありがとう。」

私は曖昧に微笑んで、気まずくなりそうだったから顔を少しそむけた。案の定、お互い沈黙して微妙な空気が流れる。


「・・・えっと、何で誰とも喋ったりしてねぇの?」

宮島君がおずおずと尋ねてきた。

「私、昔から人付き合いが苦手だから。」

こんなこと言ったらもっと空気が重くなる。分かっていたはずなのに口が勝手に喋ってしまった。

「中学とかもあんな感じだったのかよ?」

「中学の頃はまだ友達もいないわけじゃなかったんだけど・・・。」

宮島君は考え込むようにつむじをかいている。
何を言っているんだろう、私は。ろくに人付き合いができないくせに、誰かをわざわざ困らせるようなことを言って。
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