ドクター2

「か、要くん?」






探しに来たのに、真後ろに立っている要くんを見つけて、思わず噛んでしまった。






「カンナちゃん、どうしてここに?






もしかして、入院してるの?」






要くんが私の名前を覚えてくれたことにも驚いた。







「うん・・・・・・。少しだけ。」







すぐに退院できる!に違いない・・・・・・。






「そうなんだ!僕はここが部屋なの。






寄ってってよ。」






そういって要くんは私の手を引いて部屋に私を入れた。





部屋には同い年くらいの男の子ばかり。






緊張する・・・・・・。








要くんのベッドの周りは、なんだか自分の部屋のようだった。






日用品が何でもいいそろってるって感じ。






その様子を見てか、要くんが、






「すごいでしょ!入院長いから、マイルーム化してる(笑)」





笑いながら言うから、私も笑ってみたけど、本当は辛いはず。






「・・・・・・。」






笑っただけで、気の利いた言葉がでてこない。





「僕ね、心臓が良くないんだ。





最近、退院してたけど、ちょっとヘマして、発作が起きて病院に戻って来ちゃった。へへ。」







「そうなんだ・・・・・・。





私は、初めての入院・・・・・・。






今まで病院にかかることなんて滅多になかったから、今、どうしたらいいか、よくわかんない。」





要くんの方が辛いのに、私、何自分の悩みを言ってるの・・・・・・?





「そうだよね。今自由に体を動かせたのに、突然こんなふうに閉じ込められた生活なんて、辛いよね。







病院のことなら何でも聞いて!って言っても、建物の中のことしか分からないけど。」






そういいながら、笑顔の要くんを見ると、私も自然と笑みがこぼれた。






要くんと話してると、緊張しながらも何でも話せた。






夕飯の時間が近付いてきたから、看護師さんにばれないように部屋に戻った。










< 132 / 158 >

この作品をシェア

pagetop