ドクター2
翌日、実は一番に要くんの病室を訪ねた。
「要くん、痛みはある?」
要くんにはカンナの父親という認識はなく、白衣の実を診て医者と思い、頷いた。
実は鎮静剤をナースコールで指示し、要くんの寝ているベッド沿いの椅子に腰掛けた。
「悪かったな。」
要くんは黙ったまま実の顔を見た。
「カンナは、俺の娘だ。
本当にごめんな。」
要くんは目を見開いた。
「・・・・・・ち、違い、ます・・・・・・。」
要くんが話そうとしたので、実はマスクを外した。
「ぼくが・・・・・・、いけないんです。」
今度は実が目を見開く。
「僕が、カンナちゃんの後をつけて行きました。
・・・・・・カンナちゃんは、
戻るように言ったのに、僕が勝手に・・・・・・。
僕は、こうなるって、分かっていました。」
しばらく沈黙が続いた。
「・・・・・・そうだったのか。」
ようやく実が口を開いた。
少しして、看護師が持ってきた鎮静剤を要くんの点滴に入れ、要くんが寝付くのを待って、実は部屋を後にした。