ドクター2

カンナが次に目を覚ますと、部屋には実、実加、そして院長がカンナの顔を覗き込んでいた。







カンナは一度は死ぬと思っていたからか、今自分が生きていることに、感激し、涙を流した。

  




「カンナ?





どこか痛いか?」






実が顔を覗くと、 

 



 


「ううん・・・・・・。違う。  




  
生きてて良かった・・・・・・。」






その言葉を聞き、実は顔をほころばせた。






「あぁ、そうだな。」






「パパ・・・・・・?         






ごめんなさい。






要くんのこと。」






「ううん、パパの方こそ悪かったな。        








話も聞かないで打ったりして。」






「ううん、大丈夫。」




   

「要くんはあれから術後の異変もなかったから、 






すこしずつ普通の生活に戻れそうだ。






一ヶ月もすれば退院できるだろう。」






そう聞いたカンナは今までにないほど喜んだ顔をした。






「カンナはまだだけどな。」






「う・・・・・・。」






「ちゃんと吸入をしっかりやって、ご飯も食べて大人しくしていたら、すぐだって、青木先生がいつも言ってるぞ。」







「これからは、ちゃんとします・・・・・・。」






そうすねた顔をするカンナをみて、実加が笑った。

       


   


カンナは実加を見ると、






「ママ・・・・・・。







ひどいこといってごめんなさい。」 

     




「大丈夫よ。



  


ママには、カンナの気持ちがよく分かるから。






それよりも、あの素敵なところって、まさかあそこだったのね。」







「え?どういうこと?」







「昔、ママも病室抜け出しては、あそこに隠れてて、大変なことになったんだよ。」






そう実が言うと、カンナは驚いた顔をした。






「ぇえっ!?ママが?」







「へへへ。







よくパパを怒らせてたわ」






「ほんと、実加にもカンナにも参っちゃうよ。」






そう実が言うと、部屋中に笑い声でいっぱいになった。
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