ドクター2
実加はカンナに言われた通り、体がまだ熱い上、怠さが残っていたので、ベッドに再び横なった。
ガラッ
入ってきたのは実だった。
「あれ?カンナは?」
「・・・・・・学校。
病院からバスで家に帰るって。」
「そうか。
体調はどうだ?少し診察するぞ。」
一昨日のケンカのことなんて、全く覚えていないという顔をしている実は、実加の逆鱗に触れたのか、実加は実の手を払いのけた。
「実加っ!
こうやっていつまでも診察を拒否するから、倒れるんだぞ。」
そういわれてしまっては、実加もそれ以上突き返すこともできず、大人しく実の聴診を受けた。
「体の怠さは?」
「・・・・・・もう大丈夫。」
「息苦しさは?」
「・・・・・・ない。」
「こんなに音が良くないのに?」
「・・・・・・うん。
だから、熱が下がったら退院させて。」
「ダメだ!しばらくは様子見だ。
帰れば無理するだろ?」
「・・・・・・。」
実加は何も言い返さず、すぐには帰れない状態を改めて感じ、悲しくなったのか、涙を流した。
「そんなに泣くなよ。」
実が実加の涙を拭った。
けど実加はまだ何かを怒っているのか、実の手を払いのけた。
「どうしたんだよ。
まぁいいや。
俺はこれからクリニックに戻るから。
ここでゆっくり体を休めるんだぞ。」
「・・・・・・。」
何も言わない実加を見て、ため息をつきながら、実は病室を出た。