ドクター2
~斉藤家、食卓にて~
「カンナ、ちゃんと椎茸食べなさい。」
カンナが椎茸だけをよけて食べている様子を見た実加は、カンナを注意した。
「嫌~、おじいちゃんあげる~。」
すかさずカンナは院長の皿に椎茸を入れた。
「こらっ。」
実に怒られ、カンナはシュンとしながら、口に椎茸を入れた。
「そういえば、毎日クリニックにみえる澤井次郎さん。
数年前に奥さんが亡くなって、息子さん家族と一緒よね?」
実加が実に話す。
「そうじゃな。澤井さん、奥さんと暮らしてる時から糖尿だったな。」
院長も会話に加わる。
「明日から、息子さんたちがいないんだって。
一週間も。」
「ぇえっ!?」
実は驚いた。
今朝は診察の時に何も言わなかったのに、受付にいる実加に話していると思うと、ホントに実加にはかなわない。
実加を慕ってやってくる患者は多い。