ドクター2
「というわけで、明日の朝から私がご飯を用意しますね。
朝は前日の夜ご飯と届けます。
一先ず明日の朝の分はこちらです。」
実加は実と澤井次郎の自宅を訪ね、息子夫婦と次郎に説明をした。
「そんな、悪いじゃろ。
わしは一人でも何とかなる。」
「息子さん、奥さん。
大変失礼なことを言いますが、このままでは次郎さんの血糖値は悪くなる一方です。
今は食事療法が一番です。
インシュリンの注射を打つようになる前に、食事で何とかしましょう。」
次郎はきっと息子夫婦に話してない、と思った実が深刻な顔をして話す。
「親父、そうだったのか。」
「お義父さん、ごめんなさい!!!私、そんなことも知らずに何も食事に気を遣ってませんでした。
あなた、旅行は止めましょう。
お義父さんな具合が良くないときに、旅行なんて。」
「いやいや、そんなことせんでもいい。
わしは大丈夫じゃから。」
「息子さん、旅行には行ってください。
食事は帰ってきてから、よろしくお願いします。
この一週間はクリニックで考えて、妻が作ったものを届けます。
次郎さんは、毎日欠かさず検査に来てくださるので、何か異変があればすぐにわかります。
私たちにお任せください。」
実が息子夫婦を説得した。
次郎は最後まで「迷惑をかけるから」と断っていたが、明日の朝の食事はしっかり受け取ってくれた。