ドクター2
ケンカ
「実加っ、朝来いって言っただろ?」
クリニックから帰ってきた実が、台所で作業する実加を呼び止めた。
「忙しかったのよ。」
「終わってからも、そそくさと自宅に戻ってるし。」
「そんなこと言ったって、カンナも帰って来ちゃうし、夕飯の支度だって。」
「そんなのいいよ。
それより体の方がっ」
「そんなのって!!!」
実加は家事を馬鹿にされたことに怒れたのか、それとも、自分の体に触れて欲しくないのか、苛立ちながら反抗した。
「とにかく、今から来いっ!!!」
「嫌っ!夕飯の準備っ!!!」
「ダメだっ!!!」
「嫌っ!!!」
ガチャーーーン!!!
二人のやり取りの中、カウンターからお茶碗が落ちた。
「あっ!」
落ちたお茶碗は、実加にとって大切なものだった。