スロウ・スノウ
窓の外は、さっきよりもずっと濃い闇で満たされている。
そのなかで、街灯や民家からもれる光が薄ぼんやりと浮いて見えた。
──帰ろう。
場所をゆずってくれた春瀬には申し訳ないけれど私はきっと、卒業まで………
いや、春瀬のことをきれいさっぱり顔も思い出せなくなるほど忘れるまで、この場所には来ないだろう。
私はすっかり冷たくなってしまったココアを一気に飲み干した。
人工的な甘さ口のなかに変に残って、なぜだか泣きそうになった。
ごめんなさい。
今までありがとう。
心のなかでそう図書室に告げ、私は図書室を出ようとした。