スロウ・スノウ
つまずきそうになりながらも、階段を出来る限りのスピードで駆け下る。
そうすれば、玄関はもうすぐそこ。
靴箱が整然と並ぶ玄関。
そこは蛍光灯が心許なげに光るのみで人一人いない。
やはり帰って、しまっただろうか。
間に、合わなかった……。
今までの事は、ムダだった?
やっぱり、慣れないことはするもんじゃないな。
無邪気に笑いかけてくる後輩に対して心を開くことも、
誰かを想い、行動することも、
全部。
もう帰ろう。
私はそう思い、顔を上げた。