スロウ・スノウ
*4
うっとうしいのは嫌い。
面倒くさいのも嫌い。
疲れるのも嫌い。
けど、やっぱり。
春瀬。
君のことになると、私はどうやらどうしようもないばかになってしまうみたいだ。
私の上靴が、薄く積もった雪を蹴り上げる。
それでも、春瀬との距離はなかなか縮まらない。
あと数歩もすれば、春瀬は校門を出ていってしまう。
そうしたらもう彼とは話せなくなってしまう、そんな気がして。
春瀬。
振り返って。
私の声は、彼の背中には届かない。
彼が校門を出ていってしまうまであと、5歩。
4歩。
3、2……、
「………っ、いい加減、気づけあほっ!!」
ひゅっ。
すっこーん。
「──いった!?
え、は、上靴!?」
どうやら。
私は必死になるあまり、自分の上靴をおもいっきりぶん投げてしまった、らしい。
気がつけば、私の上靴が春瀬の頭にクリーンヒットしていた。