スロウ・スノウ
声を荒げながらも、泣きそうな顔でそう訴える春瀬。
「ほんとは、ずっと、分かってたんです。
先輩が、おれの事わずらわしく思っているの。
だけど、先輩がそれでもおれの相手をしてくれるから、嬉しくて……」
途切れ途切れ、だんだんと掠れて小さくなってゆく彼の声。
そんなことない。
わずらわしいなんて、思ったことない。
すぐにそう否定したいのに。
目の奥がじん、と重くなってのどの真ん中になにかが詰まる感覚を覚えた私は口を開くことができなかった。
「……だから、ずっと、覚悟はしていたんです。いつか、先輩に邪魔だって言われること。
でも、やっぱりだめでした。
ごめんなさい、さっきはあんな態度をとってしまって」
さっき、とはきっと図書室でのことだろう。
私は声を出さない代わりに、首を横にふった。