スロウ・スノウ
私の好きな本を、読んでくれていたのが嬉しい。
こんな私のことを知ろうともがいてくれるのは照れくさい。
春瀬の笑顔が好き。
春瀬との、世界を広げたい。
彼に伝えたいことがありすぎて、もはやどう言葉にすればいいかわからなくて。
伝えなくちゃと焦るほど、言葉が上手く紡げなくなる自分の口を、恨めしく思った。
すると、ふふっ、と小さな笑い声が耳に届いて。
驚いて、私は顔を上げる。
「先輩。
今の、本心ですか?
もし、本心なら、
………叫んじゃいそうなくらい、嬉しい」
春瀬は、笑っていた。
今までにないくらいに、きれいな笑顔で。